さつまいもは、自然の甘みを楽しめるだけでなく、美容や健康にも役立つ栄養がたっぷり詰まった食材です。
本記事では、さつまいもの栄養成分から効率よく栄養を摂取できる食べ方、保存方法まで徹底解説します。
さらに、忙しい日常でも役立つ簡単レシピもご紹介します!
さつまいもは、古くから日本人の食卓で親しまれてきた身近な食材です。
近年では、その栄養価の高さが再評価され、美容やダイエットに効果的な食材としても注目を集めています。
本章では、さつまいもが現代でも多くの人々に注目される理由について、詳しく解説します。
さつまいもは「準完全食」と呼ばれるほど、栄養のバランスに優れた食材です。
「準完全食」とは、含まれる栄養素の量や種類が、健康維持に必要な栄養をある程度補える食品のこと。
さつまいもに含まれる炭水化物は、緩やかにエネルギーへと変わり、血糖値の急激な上昇を抑えるという特有の働きがあります。
これは、さつまいもが低GI食品に分類される理由の一つです。
GI値が低い食品は、満腹感を長時間維持し、インスリンの必要量を抑えるため、肥満の予防や血糖コントロールに役立ちます。※1
さらに、さつまいもにはビタミンCやビタミンB群、カリウム、カルシウムなど、野菜に多く含まれる栄養素も豊富に含まれています。
このように、さつまいもは炭水化物が豊富で穀物のような特徴を持ちながら、ビタミンやミネラルも豊富に含み、野菜としての役割も果たします。
そのため、健康維持や栄養バランスの向上に最適な食材といえます。
※参照1/最強!スーパーフード サツマイモ|著者:吉元 誠|P67
さつまいもは、単なるエネルギー源としてだけでなく、その栄養バランスの良さも高く評価されています。
さつまいも(皮つき)100gあたり※2 | |
---|---|
エネルギー | 126kcal |
塩分 | 0g |
タンパク質 | 1.2g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 31.9g |
カリウム | 480mg |
カルシウム | 36mg |
マグネシウム | 24mg |
βカロテン | 28μg | 葉酸 | 49μg |
ビタミンC | 29mg |
食物繊維 | 2.2g |
・エネルギー源としての炭水化物
さつまいもには適度な量の炭水化物が含まれており、体や脳を動かすためのエネルギー源となります。
・低カロリーでヘルシー
低カロリー、低脂質でありながら、食物繊維の働きによって満腹感が得られるため、ダイエット中の食事に最適。
・ミネラルの宝庫
カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルがバランスよく含まれています。
・ビタミン類が豊富
免疫力向上や美肌効果が期待できるビタミンCや、目の健康、皮膚や粘膜の保護に役立つβ―カロテンなどのビタミン類が豊富。
・豊富な食物繊維
食物繊維が豊富で、便通を促進し腸内環境を整える働きがあります。
このように、さつまいもは、エネルギーを補給する炭水化物だけでなく、体調を整えるために欠かせないミネラルやビタミン類が豊富に含まれ「栄養バランスに優れた食材」として、多くの魅力を持ち合わせています。
※参照2/食品データベース
さつまいもは、じゃがいもやごぼうなどの他の根菜類と比べても、優れた栄養価を誇ります。
特に、食物繊維やビタミンCの含有量が多いのが特徴です。
例えば、さつまいもの食物繊維はじゃがいもよりも多く含まれており、腸内環境を整える効果が期待できます。
また、ビタミンCの含有量はごぼうの約10倍です。
ビタミンCは免疫力を高めるだけでなく、美肌効果も期待できるため、特に女性にとって嬉しい栄養素といえます。
また、さつまいものビタミンCは、でんぷんによって保護されているため、加熱調理をしても壊れにくいのが特徴です。
このため、蒸す、焼くといった調理法でもビタミンCを効率良く摂取できます。
ほかにも、さつまいもにはじゃがいもの約18倍※3ものカルシウムが含まれており、骨や歯の健康を維持するのに役立ちます。
これにより、さつまいもの栄養を最大限に引き出すことができます。
次章では、さつまいもに含まれる代表的な栄養素と、その健康効果についてさらに詳しく掘り下げていきます。
※参照3/食品データベース
さつまいもは「準完全食」と呼ばれるほど、多くの栄養素をバランス良く含んでいます。
これらの栄養素は、健康を維持するだけでなく、美容や生活習慣病の予防にも役立ちます。
本章では、さつまいもに含まれる主な栄養素とその効果について詳しく解説します。
むくみ解消に役立つことで知られているカリウム。
その他にも、カリウムは血圧の調整や体内の余分な塩分を排出する働きがあり、血圧上昇を防ぐ効果が期待されているミネラルです。
さつまいもは、このカリウムを手軽に摂取できる食材の一つであり、1本(約150g)のさつまいもには約450mgのカリウムが含まれています。
これは、カリウムが豊富とされるバナナにも匹敵する量であり、日々の食事に取り入れることで、カリウム不足を効率的に補えます。
特に、日本人は諸外国に比べ塩分摂取量が多い傾向にあります。※4
過剰な塩分摂取は血圧上昇の要因となり、高血圧や動脈硬化のリスクを高める可能性があります。
カリウムには塩分を体外に排出する効果があるため、塩分過多の改善に役立ちます。
さつまいもを日常的に摂取することで、健康的な食生活のサポートが期待できるでしょう。
※参照4/厚生労働省|食環境を取り巻く社会情勢|P11
さつまいもには、骨を健康に保つために欠かせないカルシウムも豊富に含んでいます。
カルシウムは骨や歯の主成分であり、不足すると骨粗しょう症や歯の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、意識して摂取する必要があります。
さらに、さつまいもに含まれるマグネシウムはカルシウムの吸収をサポートするため、効率的に骨を丈夫にする作用が期待できます。
食物繊維は現代人に不足しがちな栄養素のひとつです。
さつまいも1本(約150g)には約4gの食物繊維が含まれており、これは成人女性の1日の目標摂取量の約20%を補える数値です。
さつまいもに含まれる食物繊維には、水溶性食物繊維0.9gと不溶性食物繊維1.8gがあり、合計2.8g※5となっています。
不溶性食物繊維はしっかり噛む必要があるため、早食いを防いで満腹感を得やすくすると同時に、顎や歯を強化する効果も期待できます。
また、不溶性食物繊維は体内で分解されず、腸内で消化された他の食べ物の粒子に付着し、排せつを促進します。
その他にも、腸内の有害物質を排出しやすくする効果もあります。
また、水溶性食物繊維は体内で長い時間をかけて胃腸内を移動し、血糖値の上昇をゆるやかにします。
これにより、空腹を感じにくくなり、肥満の予防や血糖コントロールに役立ちます。
これらの食物繊維が不足すると、腸内環境が悪化して便秘になりやすくなるほか、肌荒れの原因になることもあります。
そのため、日々の食事にさつまいもを取り入れて、腸内環境を整えましょう。
※参照5/食品データベース
ビタミンCは、コラーゲンの生成を促進し、肌を健康に保つために必要不可欠な栄養素です。
さつまいもには、このビタミンCがたっぷり含まれています。
その含有量は、なんとみかんと同程度。
また、シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑制する効果もあり、美肌を目指す方には欠かせないビタミンです。
特に注目すべき点は、さつまいもに含まれるビタミンCが加熱に強いということです。
これは、さつまいものデンプンがビタミンCを保護するためで、栄養を損なうことなく調理できます。
さつまいもに含まれるビタミンCは、美肌づくりにおいて非常に心強い味方のため、積極的に摂取しましょう!
ヤラピンは、さつまいもの皮や切り口から分泌される白い乳液状の成分で、腸を適度に刺激し、便秘解消を助ける作用があります。
この成分は他の野菜にはほとんど含まれず、さつまいも特有の成分です。
さつまいもを食べると便通が良くなるのは、このヤラピンと食物繊維の相乗効果によるものです。
これにより、便秘の予防や体内の有害物質を排出し、腸内環境を整える助けとなります。
腸内環境が改善されると、免疫力の向上や肌の健康維持にもつながるため、さつまいもは美容と健康の両面で効果が期待できる野菜です。
アントシアニンは紫芋と呼ばれている「アヤムラサキ」など、肉質の部分が紫色のさつまいもに多く含まれるポリフェノールの一種です。
アントシアニンは抗酸化作用を持ち、体内の酸化ストレスを軽減し、免疫力を向上させる効果が期待できます。
さつまいもに含まれるアントシアニンは16種類以上あり、中でも「アシル化アントシアニン」は、肝機能改善、血圧上昇の抑制などの効果も期待されています。※6
この成分は、表皮から5mmまでの皮層(ひそう)部分に多く含まれているため、さつまいもを調理する際は皮層部分を残した方がアントシアニンを効率良く摂取することができます。※7
※参照6/機能性を持つ農林水産物・食品の開発について|山本(前田)万里|日本食生活学会誌Vol.24 No.3(2013)
※参照7/最強!スーパーフード サツマイモ|著者:吉元 誠|P96
さつまいもの栄養を最大限に活かすためには、選び方と保存方法が重要です。
新鮮で質の良いさつまいもを選び、適切な保存方法を実践することで、美味しさを保つことができます。
本章では、さつまいもの見分け方と保存のコツをご紹介します。
さつまいもを選ぶ際には、色や形、大きさをチェックすることがポイントです。
以下のポイントを参考に、質の良いさつまいもを選びましょう。
1.色
皮の色が鮮やかでツヤがあるものを選びましょう。
また、表面に黒ずみやひび割れがないものが望ましいです。
2.形
中央部分がふっくらと丸みを帯びており、表面の溝が浅く、ひげ根のないものを選びましょう。
3.大きさ
ずっしりとした重みを感じる中くらいの大きさ(約200~300g)のものが最適です。
大きすぎるものは甘味が弱くなることが多いため、購入時の参考にしてください。
さつまいもを正しく保存するには、以下の方法で保存しましょう。
常温保存
さつまいもを新聞紙に包み、穴の開いたポリ袋で保存しましょう。
10~15℃の風通しの良い場所で保存するのが理想的です。
スーパーで購入したさつまいもの場合、上記の方法で2週間ほど保管しておくと、追熟が進み、でんぷんが糖に変わることで甘みが増します。
また、注意点として、さつまいもは寒さに弱く、冷蔵庫に入れると低温障害を起こして味や食感が悪くなるため、冷蔵保存は避けてください。
一方で、保存場所が15℃以上になると芽が生えることがあります。
さつまいもの芽には毒がないため、取り除けば問題なく食べることができますが、芽が出ると腐敗が進みやすくなるため、保管環境には注意が必要です。
冷凍保存
さつまいもは寒さに弱い性質を持っていますが、実は冷凍保存も可能です。
以下の手順で冷凍保存しましょう。
①さつまいもを洗い、お好みのサイズに切ります。
②水気を拭き取ったら、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
③平らにして冷凍庫へ入れます。
冷凍したさつまいもは、1カ月を目安に使い切るのがおすすめです。
長期間保存すると食感や風味が損なわれることがあるため、早めに調理して楽しみましょう。
さつまいもの豊富な栄養素を無駄なく摂取するためには、調理方法が重要といえます。
本章では、さつまいもの栄養価を効率よく摂取するための調理方法について解説します。
さつまいもの皮には、多くの栄養素が含まれており、皮ごと調理することでその栄養を最大限摂取することができます。
その理由を以下に詳しく解説します。
1.皮には抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富
肉食部分が紫色のさつまいもの皮には、アントシアニンが含まれています。
この成分には、強い抗酸化作用があり、免疫力向上や老化防止に役立ちます。
皮をむいてしまうとこれらの栄養素が失われてしまうため、皮ごと調理するのがおすすめです。
2.食物繊維は皮にも含まれている
さつまいもの皮には多くの食物繊維が含まれています。
これにより、便通を促し腸内環境を整える効果が期待できます。
3.オレンジ・黄色のさつまいもの皮にはβ―カロテンが含まれている
黄色やオレンジ色のさつまいもの肉質部分にはβ―カロテンが豊富で※8、皮にも含まれています。
β―カロテンは体内に入るとビタミンAに変換され、活性酸素の働きを抑える役割を果たします。
活性酸素は、体内に過剰に取り込まれた酸素の一部が過剰に活性化されている状態のことで、細胞を傷つけ、酸化ストレスによる生活習慣病の原因となります。
そのため、β―カロテンを摂取して健康維持に役立てましょう。
調理する際は、蒸す・焼くといった水を使わない方法がおすすめです。
特に、皮ごと調理すると、栄養の流出をさらに抑えられるため、ビタミンCやミネラルをしっかりと保てます。
また、さつまいも本来の風味や食感を存分に楽しむこともできますよ。
※参照8/農研機構|黄肉色サツマイモに含まれるカロテノイド
さつまいもを調理する際、栄養を保つには適切な加熱方法を選ぶことが大切です。
以下では、それぞれの加熱方法の特長をご紹介します。
栄養素 (100gあたり※9) |
生 | 蒸し | 焼き | 揚げ (天ぷら・皮つき) |
---|---|---|---|---|
カロリー (kcal) |
126 | 131 | 151 | 205 |
脂質 (g) |
0.2 | 0.2 | 0.2 | 6.8 |
炭水化物 (g) |
31.9 | 31.9 | 39.0 | 38.4 |
カリウム (mg) |
480 | 480 | 500 | 380 |
カルシウム (mg) |
36 | 36 | 23 | 51 |
βーカロテン (μg) |
28 | 29 | 35 | 58 |
葉酸 (μg) |
49 | 50 | 52 | 57 |
ビタミンC (mg) |
29 | 29 | 13 | 21 |
食物繊維 (g) |
2.2 | 3.3 | 3.5 | 3.1 |
1.蒸す:栄養を逃さずしっとり仕上げる
前章で述べた通り、さつまいもは水で煮るよりも蒸す方が、水溶性ビタミンCやミネラルなどの栄養の流出を抑えられるのが特長です。
また、蒸すことによってでんぷんが糖化し、甘味がより強く引き立ちます。
特に蒸し器を使用すると、さつまいもの中心まで均一にじっくりと火が通り、均一に加熱されてムラなく仕上がります。
2.焼く:甘味を最大限に引き出す
焼くと、さつまいものデンプンが糖に変わることで甘味が増します。
低温でじっくり焼くと、さらに濃厚な甘味を楽しむことができます。
また、焼くことで皮がカリッと仕上がり、美味しさが倍増します。
さらに、カリウムの栄養価は蒸した場合よりも高まるのが特長です。
3.揚げる:優しい味わいを引き出す
揚げるとカロリーは上がるものの、カルシウムやβ―カロテンは生に比べて大きく栄養価がアップします。
また、揚げ物ならではの香ばしさが加わり、さつまいもが持つ優しい甘みがさらに引き立つようになります。
このように、加熱方法に応じた工夫をすることで、栄養価をしっかりと保ちながら、さつまいもをより美味しく味わうことができます。
次章では、さつまいもを使った手軽で美味しいレシピをお届けします。
忙しい日常でも簡単に栄養を取り入れられる方法をご紹介しますので、ぜひお試しください!
※参照9/食品データベース
忙しい毎日の中でも、さつまいもの栄養を手軽に取り入れられるレシピをご紹介します。
シンプルな材料で短時間で作れるレシピは、栄養バランスを考えた食卓作りに役立ちます。
さつまいもは「健康的で栄養価の高い食材」として知られていますが、食べ方や量を間違えると、カロリーオーバーや胃腸の不調などの思わぬ影響を及ぼすことがあります。
この章では、さつまいもに関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
「さつまいもは甘くておいしいけど、ダイエットに向いているの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
結論として、さつまいもはダイエットに効果的な食材ですが、調理法には注意が必要です。
ダイエット中は、油や砂糖を使用しないふかし芋や焼きいもがおすすめ。
カロリーや糖質を抑えつつ、ビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく摂取できます。
特に食物繊維には満腹感を得やすくする効果があり、過剰なカロリー摂取を防ぎながら腸内環境の改善も期待できます。
ただし、油やバター、砂糖をたっぷり使った料理はカロリーや糖質が高くなるため避けましょう。
また、さつまいもだけを食べていても栄養バランスやカロリーに偏りが生じてしまいます。
そのため、野菜やタンパク質などを組み合わせて全体的な栄養バランスを整えることが重要です。
さつまいもは1日100g~150g(小ぶりの1本程度)を目安に食べると、糖質を摂りすぎる心配がなく、適度な満腹感を得られます。
さつまいもの糖質量は100gあたり約30gで、白ご飯よりやや少ない程度です。
糖質は、筋肉や血液、骨の生成を助けるほか、体調を整える役割を果たす重要な栄養素。
しかし、使いきれなかった糖質は脂肪として蓄積されるため、摂取量には注意が必要です。※10
とはいえ、前述でも述べたとおり、さつまいもには豊富な食物繊維が含まれているため、糖質を緩やかに吸収してくれます。
そのため、糖質を摂取しながらも血糖値の急激な上昇を抑えたい方にとって、さつまいもは理想的な食材といえます。
※参照10/決定版 糖質オフの教科書|著者:牧田善二|発行者:富永靖弘|発行所:株式会社新星出版社|P20、P50
栄養価が高いさつまいもですが、摂取量や調理法を間違えると、カロリーオーバーや糖質の過剰摂取に繋がる可能性があります。
また、さつまいもに多く含まれる食物繊維が腸内で細菌に分解される際、二酸化炭素などのガスが発生しやすくなります。
このため、おならが出やすくなったり、消化不良や胃の不快感を感じたりすることがあります。
よって、1日あたり半分~1本(100g~200g)を目安にして食べすぎに注意しましょう。
不安がある場合は少量から試し、自分に合った摂取量や食べ方を見つけてみてください。
さつまいもの栄養を理解し、日常に取り入れることで、さまざまな健康や美容効果を期待できます。
本記事を参考に、栄養バランスに優れたさつまいもを積極的に食事へ取り入れてみてくださいね。