はじめての食材を赤ちゃんに与えるときはドキドキしますよね。
牛乳は離乳食中期である7カ月ごろから少しずつ与えることができます。牛乳が使えるようになると、カルシウムなどの栄養分を摂取できるだけでなく、離乳食メニューをぐっと増やすことができるので、とても便利な食材です。ただし、牛乳はアレルギーの危険性もあるため、与える際は注意が必要です。
ここでは、はじめて牛乳を使うときに気になるポイントである、牛乳の種類、与え始める時期、量、使用方法、牛乳をつかった離乳食レシピや、アレルギーがおこってしまった場合の対応についてご紹介します。
目次
1. 牛乳にはどんな種類があるの?離乳食に適した牛乳の種類は?
2. 牛乳をつかった離乳食のすすめかた
① 離乳食で牛乳はいつからはじめて大丈夫?
② 離乳食ではじめて牛乳を与えるときの量と与え方について
③ 離乳食で牛乳を使用する場合、加熱したほうがいい?
3. 食物アレルギーが怖い!牛乳アレルギーが発生する割合は?
① 乳児の食物アレルギーに多いのは、卵・牛乳・小麦
② 乳幼児期の牛乳アレルギーはどのくらいの割合で発生するの?
③ アレルギーが起こってしまった場合の対応方法
4. 牛乳をつかった離乳食を与えたあとに下痢になってしまった場合の対応方法
① 乳糖不耐症の可能性があるのでなにを食べた後に下痢をしたか確認する
① 牛乳をつかったきほんのミルクがゆ
② さっと作れてとっても簡単!牛乳パンがゆ
③ カミカミ期(離乳食後期)から♪かぼちゃとにんじんのホットケーキ
スーパーには成分無調整牛乳や低脂肪牛乳、ビタミンが入っているものなどたくさんの牛乳が並んでいますよね。実は、牛乳は6種類に分類されているのはご存知でしたか?種類によってそれぞれ特徴が違います。
離乳食に適した牛乳もあるので、用途にあわせて買い物の際に参考にしてください。
使用
原材料
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種類別
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内容
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牛乳のみ使用
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成分無調整 牛乳 |
生乳100%で成分無調整のもの。生乳を殺菌しそのままパック詰めされている。 牛乳の離乳食をはじめるときは、添加物が含まれてていない成分無調整牛乳がおすすめ。 |
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成分調整牛乳
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成分調整
牛乳
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生乳から水分や脂肪などの乳成分の一部を取り除いたもの。 | |
低脂肪
牛乳
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生乳から脂肪分のみを除去し、脂肪分を0.5%~1.5%に除去したもの。 | ||
無脂肪
牛乳
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生乳から脂肪分を除去し、脂肪分を0.5%未満に調整したもの。 | ||
牛乳 + 乳製品 |
加工乳 | 生乳や牛乳からつくられたバターやクリームなどの乳製品に生乳を加えたもの。 | |
牛乳 + 乳製品 + 乳製品以外 |
乳飲料 | 生乳や乳製品を主原料としたものに果汁や甘味、ビタミン、カルシウムなどを加えたもの。 |
離乳食で牛乳をつかうときは、成分が調整されていない「成分無調整牛乳」からはじめましょう。成分無調整牛乳は、どこのスーパーやコンビニでも手に入れることができます。パッケージの表面に種類別の表示があるので確認してから購入してくださいね。
牛乳は、モグモグ期(7~8ヵ月)と呼ばれている離乳食中期からつかうことができます。牛乳は筋肉や内臓など体をつくる材料になるたんぱく質や、歯や骨を育てるカルシウムなど大切な栄養素が含まれています。成長が著しい乳児期に積極的にとりたい食品のひとつです。
離乳食ではじめて牛乳をつかうときは、
「赤ちゃんの調子が良い時」
「アレルギーがおきたときのことを考えて受診のできる時間帯に」
「ごく少量から」
という点に気を付けて進めていきます。
まずは、小さじ1杯程度を料理に混ぜて加熱をしてから与えるようにし、徐々に量を増やしていきましょう。かんたんに作れるミルクがゆやミルク煮からスタートする方が多いです。月齢に応じた牛乳の目安量をまとめたので参考にしてください。
(出所/2015年 主婦の友社 食物アレルギーをこわがらない!はじめての離乳食 監修/あいち小児保健医療総合センター副センター長 伊藤 浩明、帝京科学大学 こども学部教授・栄養学博士 上田 玲子)
モグモグ期(7~8ヵ月)や離乳食後期のカミカミ期(9~11ヵ月)の間は、必ず加熱してから与えるようにしてください。牛乳50ccを耐熱容器に入れ、ラップをかけて600Wの電子レンジで30秒あたためるだけのホットミルクは手軽にできるのでおすすめです。
牛乳は栄養豊富で、母乳やミルクの代わりになりそうな気もしますが、鉄の含有量が少なく吸収率がわるいので母乳やミルクの代わりにはなりません。また、たんぱく質やミネラルが多いので、多く飲むと内臓に負担がかかります。飲み物として与えるときは内臓機能が発達し始める1歳を過ぎてからにしましょう。
(出所/2015年 主婦の友社 食物アレルギーをこわがらない!はじめての離乳食 監修/あいち小児保健医療総合センター副センター長 伊藤 浩明、帝京科学大学 こども学部教授・栄養学博士 上田 玲子)
育児用ミルクを飲んでいるのであれば牛乳アレルギーの心配はほとんどありません。しかし、0歳児の牛乳アレルギーがどのくらいの割合なのか、万が一アレルギーが起こってしまった場合の対応方法について知っておきたい方も多いと思います。ここでは、アレルギーについて詳しく解説していきます。
卵・牛乳・小麦はアレルギーの発症率が高く、これらは三大アレルゲンと呼ばれています。0歳児で発症する約9割はこの三大アレルゲンだといわれています。
グラフは、0歳児の食物アレルギーの原因になる食物別の割合です。1番多いのは卵、牛乳は2番目に多いことがわかります。アレルギーの原因になる食べ物は臓器が発達するまで少し遅らせたほうがいいのでは?と思われがちですが、離乳食を遅らせても食物アレルギーを予防する効果がないことが分かっています。むやみに自己判断で食事制限するのはやめましょう。
(出所: 消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」平成 29(2017)年即時型食物アレルギー全国モニタリング調査報告)
食物アレルギーは乳児に最も多く見られ、10人に1人いるといわれています。食物アレルギーは意外と身近に存在しており、決して珍しいものではないのです。アレルゲンの原因になるのは食べ物に含まれるたんぱく質です。大人は消化機能が発達しているので、消化によりタンパク質が分解されたり、免疫で調整できます。ところが、乳児は消化機能が未熟であり、タンパク質を異物だと脳が判断し、アレルギー反応が引き起こされやすくなります。
(出所/2015年 主婦の友社 食物アレルギーをこわがらない!はじめての離乳食 監修/あいち小児保健医療総合センター副センター長 伊藤 浩明、帝京科学大学 こども学部教授・栄養学博士 上田 玲子)
(出所/総務省 乳幼児の食物アレルギー対策に関する実態調査の結果)
上のグラフを見ると、年齢とともに食物アレルギーは減っていきます。成長とともに免疫力がつき、消化機能が発達してくるためです。1歳半ごろから少しずつ食べられるようになり、食物アレルギーは自然に治っていくことが多いので、あまり神経質にならず、小児科の先生の先生に相談してみてくださいね。
食物アレルギーの症状は「即時型」といわれ、アレルゲンを食べてから15分~2時間以内に発症します。はじめて食べるものを離乳食で与えるときは病院へ受診できる時間帯にというのはこのためです。
症状で最も多いのは皮膚症状です。せきやゼーゼーはアレルギー症状の中でも慎重に対応しなければなりません。声が出にくかったり、息苦しさを感じるようなら急いで病院へ行ってください。
(出所/主婦の友社 食物アレルギーをこわがらない!はじめての離乳食 監修/あいち小児保健医療総合センター副センター長 伊藤 浩明、帝京科学大学 こども学部教授・栄養学博士 上田 玲子)
乳糖不耐症とは、消化酵素のラクターゼの欠乏により乳糖が消化できない状態のことで、下痢や腹部のけいれん痛を起こします。
(引用元/MSDマニュアル家庭版 乳糖不耐症)
また、「乳糖不耐」とよく混同されるのが、「牛乳アレルギー」です。「乳糖不耐」と「牛乳アレルギー」は 似て非なるもので、そのメカニズムはまったく 異なります。混同しないようにしましょう。
(引用元/一般社団法人Jミルク FACTBOOK ファクトブック 2020年3月 よくわかる! 乳糖不耐)
下痢が続くことによって、体重や身長が伸びないなどの発育面での影響もあるので、なにを食べた後に下痢になるのか確認し、医師へ相談しましょう。
きほんのミルクがゆやパンがゆなど、牛乳を使った離乳食レシピをご紹介します。
・7倍がゆ又は5倍がゆ…大さじ3強(50g)
・牛乳…大さじ2
おかゆに牛乳を加えてひと煮立ちさせます。
※バナナやきな粉をまぜるとより風味豊かになるので、食べが悪くなってきたらぜひ試してみてください♪
・食パン…1/4枚(15g)
・牛乳…1/4カップ
・水…1/4カップ
①食パンをちぎります。
②食パンと牛乳、水1/4カップに入れて、小さめの鍋で煮ます。
③柔らかくなったら火を止めます。
④ふたをして蒸したら完成です。蓋をしてしばらく蒸すと、パンがふっくらしてさらに美味しくなります♪
・ホットケーキミックス…大さじ3(30g)
・かぼちゃ…15g
・にんじん…15g
・牛乳…大さじ2
・植物油…少々
①かぼちゃとにんじんを5mm角に切り刻み、やわらかくなるまで茹でます。
②ゆでたかぼちゃとにんじんにホットケーキミックスと牛乳を加えて混ぜます。ホットケーキをつくるときの熱だけではかぼちゃとにんじんはやわらかくならないので、ゆでたものを用意してくださいね。
③フライパンを熱して油をひき、2を入れて両面焼きます。
④食べやすい大きさに切ります。
牛乳はタンパク質やカルシウムを手軽に摂取できる栄養豊富な食物です。成長がめざましい乳児期には離乳食に積極的に取り入れ、丈夫なからだをつくりましょう!モグモグ期(7~8ヵ月)では、まずは小さじ1杯からスタートし、徐々に与える量を増やしていきましょう。1歳すぎてから飲用として与えることができます。牛乳はアレルゲンを含む食物ではありますが、あまり怖がらずに与える際のポイントを守りながらはじめてみましょう。