もやしは安価で手軽に手に入る食材ですが、その栄養価や健康効果について詳しく知っていますか?
また、その見た目や味わいから「もやしには栄養がない」と誤解している方も多いのではないでしょうか。
実は、もやしには栄養が豊富に含まれており、疲労回復や美肌などのさまざまな健康効果が期待できます。
この記事では、もやしの栄養価や健康効果、そしてその栄養を最大限に活かす調理方法について詳しく解説します。
もやしは白く細い茎と小さな葉だけで構成されており、見た目からして栄養が豊富だとは思えないかもしれません。
しかし、実際には多くの栄養素を含んでいて、「もやしに栄養はない」という情報は誤解です。
では、もやしには一体どのような栄養があるのか、詳しく解説していきます。
緑豆もやし1袋(200g)あたり※1 | |
---|---|
エネルギー | 30kcal |
塩分 | 0g |
タンパク質 | 3.6g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 4.8g |
カリウム | 160mg |
カルシウム | 18mg |
鉄 | 0.4mg |
ビタミンB1 | 0.08mg |
ビタミンB2 | 0.10mg |
葉酸 | 72μg |
ビタミンC | 14mg |
食物繊維 | 2.6g |
アスパラギン酸 | 690mg |
※参照1/食品データベース
もやしには疲労回復に効果的なアスパラギン酸や、美容や健康に良いとされるビタミンCなどの栄養が含まれています。
また、部位によって栄養成分の含有量が異なります。
もやしの上部にある子葉は葉酸やビタミンE、K、茎はカリウムやビタミンB1、B2、ひげ根はビタミンCや食物繊維が多く含まれています。
以下からは、もやしに含まれる代表的な栄養素と健康効果について具体的に解説していきます。
もやし200g(1袋)あたりのカリウムの含有量:160mg※1
カリウムは体内のナトリウムの尿中排出を促し、血圧を正常に保つのに重要な役割を担っています。※2
ナトリウムとは、主に食塩(塩化ナトリウム)として摂取される必須ミネラルであり、体内の水分バランスを維持するために必要な栄養素ですが、過剰摂取は血圧上昇の原因となります。※3
この血圧上昇を防ぐサポートをしてくれるのが、カリウムです。
カリウムを十分に摂取することで、余分なナトリウムを尿として体外へ排出でき、血圧上昇を防ぎやすくなります。※4
そのため、ラーメンや味噌汁など食塩量の多い料理を作るときは、カリウムを豊富に含むもやしを使うのがおすすめです。
※参照1/食品データベース
※参照2/改訂新版栄養の教科書|新星出版社|2016年4月15日|監修:中嶋洋子|P130~133、P110~111、P116~117、P86、P92~93、P98、P102
※参照3/厚生労働省 e-ヘルスネット|ナトリウム
※参照4/厚生労働省 e-ヘルスネット|カリウム
もやし200g(1袋)あたりのカルシウムの含有量:18m※1
カルシウムは丈夫な歯や骨をつくるのに役立つ栄養素です。
カルシウムが不足すると歯や骨の形成が阻害され、もろくなりやすくなるため、意識してカルシウムを摂取するよう心がけましょう。※2
また、神経や筋肉の興奮を抑える作用もあります。
ビタミンDを含んでいる鮭やきのこ類と一緒に摂ると、カルシウムの吸収が良くなりますよ。
もやし200g(1袋)あたりの葉酸の含有量:72μg※1
葉酸は赤血球の生成に必要な栄養素であり、貧血予防に効果的です。
特に妊娠中の女性は、お腹の赤ちゃんにたくさんの血液を送り込むので、貧血になりやすくなります。※5
そのため、意識して摂取するようにしましょう。
※参照5/ライオン歯科衛生研究所|育児と乳歯の情報サイト|妊娠中のむくみや貧血、便秘を食べ物で改善しよう
もやし200g(1袋)あたりのビタミンCの含有量:14mg※1
ビタミンCはコラーゲンの合成を促進する役割を果たします。
コラーゲンは肌の弾力性を保つために必要なタンパク質であり、不足するとコラーゲンの生成能力が低下し、肌の老化を早めるリスクがあります 。
適切なビタミンCの摂取は、シミやしわを防ぐだけでなく、健康的で若々しい肌を維持するためにも重要です。
その他にも、ビタミンCは免疫力を高める効果があり、風邪予防や疲労回復にも効果的です。
ビタミンCは、ストレスや喫煙、過剰なアルコール摂取などによって体内で消費されやすいため、積極的に摂取することが推奨されています。※6
野菜や果物を日常的に摂ることで、ビタミンCを効率よく補うことができますよ。
※参照6/国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ホームページ|「健康食品」の安全性・有効性情報|ビタミンC
もやし200g(1袋)あたりのアスパラギン酸の含有量:690mg※1
もやしにはアスパラギン酸が豊富に含まれています。
アスパラギン酸とはアミノ酸の一種で、うまみの素になる栄養成分ともいわれています。※7
新陳代謝を活発にし、疲労回復やスタミナ増強に効果があります。※8
※参照7/JAさいたま|アスパラガス ~新陳代謝・美肌効果のあるアスパラギン酸が豊富!
※参照8/一般財団法人日本健康文化振興会|たべもの歳時記
もやし200g(1袋)あたりの食物繊維の含有量:2.6g※1
もやしには食物繊維も含まれており、腸内環境を整える効果や便秘を予防・改善する効果があります。
日本人の食事摂取基準によると、一日の食物繊維の摂取目標量が男性21g、女性18gなのに対し※9、11~17gしか摂取できていないといわれています。※10
食物繊維が不足すると、腸内環境が悪化し、便秘になりやすくなるので積極的に摂取しましょう。
※参照9/「日本人の食事摂取基準」策定検討会 日本人の食事摂取基準(2020年版) P165
※参照10/改訂新版 栄養の教科書|監修者:中嶋洋子|P131
もやしは、大きく①緑豆もやし②ブラックマッペ③大豆もやしの3種類に分かれていることはご存知でしょうか。
もやしの栄養成分※1 | 緑豆もやし | ブラックマッペもやし | 大豆もやし |
---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 14 | 15 | 37 |
水分(g) | 95.4 | 95.0 | 92.0 |
たんぱく質(g) | 1.7 | 2.0 | 3.7 |
脂質(g) | 0.1 | 微量 | 1.5 |
炭水化物(g) | 2.6 | 2.7 | 2.3 |
灰分(g) | 0.2 | 0.3 | 0.5 |
ナトリウム(mg) | 2 | 6 | 3 |
カルシウム(mg) | 9 | 15 | 23 |
鉄(mg) | 0.3 | 0.4 | 0.5 |
カリウム(mg) | 69 | 71 | 160 |
ビタミンB1(mg) | 0.04 | 0.04 | 0.09 |
ビタミンB2(mg) | 0.05 | 0.06 | 0.07 |
ビタミンC(mg) | 8 | 11 | 5 |
葉酸(μg) | 41 | 42 | 85 |
食物繊維(g) | 1.3 | 1.4 | 2.3 |
※参照1/食品データベース
もやしは種類によって、栄養価や味、食感が異なります。
ここからは、もやしの種類ごとの特徴について解説します。
緑豆もやしは、最も多く市場に出回っており、安価で購入できるもやしの代表格です。
シャキシャキした食感が魅力で、クセがなく淡泊な味わいが特徴です。
カリウムやビタミンCが豊富に含まれています。
どんな料理にも合いますが、特に炒め物との相性が◎。
シャキシャキとした食感がアクセントになり、より一層美味く仕上がります。
ブラックマッペは、黒豆を発芽させたもので、特有の香りがあります。
緑豆もやしに比べると細長く、しっかりとした食感が特徴です。
3種類のもやしの中でビタミンCの含有率が一番高く、疲労回復や美肌効果が期待できます。
ブラックマッペは麺類との相性が良く、特にラーメンや焼きそばに良く合います。
ブラックマッペを加える事で、もやしの栄養を摂取できるだけでなく、料理全体のバランスも整えてくれますよ。
大豆もやしは、大豆を発芽させたもので、他のもやしよりも太くて歯ごたえがあります。
タンパク質やビタミンB群、葉酸、カルシウム、カリウム、マグネシウムが豊富で、栄養素によっては、緑豆もやしの2倍以上あるものも。
また、女性に嬉しい栄養素といわれる大豆イソフラボンを含んでいます。
大豆イソフラボンは、抗酸化物質の一種であり、女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをする作用があります。
エストロゲンは加齢とともに不足しやすくなり、更年期障害につながることも。
そこで、不足したエストロゲンを大豆イソフラボンが補い、更年期障害のトラブルを予防する効果が期待できます。※11
そんな大豆もやしを美味しくたくさん食べることが出来る、おすすめの調理法はスープやナムルです。
大豆の味わいとシャキシャキとした歯ごたえをしっかり感じられますよ。
大豆もやしは、豆の部分が硬く火が通りにくい特徴があります。
緑豆もやしやブラックマッペよりも加熱時間を長めにとりましょう。
※参照11/総合南東北病院|健康倶楽部|大豆イソフラボン
もやしの栄養を効率よく摂取するには、調理方法を工夫することが重要です。
まず、もやしは加熱料理を前提で生産しているので、加熱して食べることが推奨されています。
加熱することによって、消化しやすくなるため、栄養がちゃんと吸収できるようになります。
また、青臭さが取れて、より美味しく食べることもできるので、必ず実践してくださいね。
もやしを炒める際は、強火で短時間調理することがポイントです。
長時間加熱すると栄養が失われやすいので、サッと炒めるのがベストです。
【もやしの炒め方】
①フライパンにサラダ油大さじ1杯を入れてよく熱します。
②熱したフライパンにもやしを入れて強火で1分炒めます。
※他の野菜と一緒に炒める場合は、完成直前にもやしを入れましょう。
もやしを茹でる場合は、レンジ調理が最適です。
短時間で加熱でき、栄養の損失を少なくできます。
レンジで加熱するだけで簡単に調理できるので、家事の負担を減らしたい方や時短したい方にもおすすめです。
【電子レンジを使用したもやしの茹で方】
①もやしを耐熱容器に入れてラップをかけます。
②電子レンジ500Wの場合、2~3分加熱します。
③ざるにあけて水気を切りよく冷まします。(栄養素が逃げてしまうので水にさらさないこと)
スープや汁物にする場合は、煮込み過ぎないように注意しましょう。
煮込みすぎると、ビタミンCや葉酸などの水溶性ビタミンが流出してしまいます。
また、もやしは煮込みすぎると食感や味も落ちやすくなります。
そのため、スープや汁物に入れる時は、下茹ではせず、そのまま加えましょう。
もやしは、料理完成直前に加えた方が栄養を効率的に摂取でき、もやし特有のシャキシャキ感を残すことができますよ。
もやしはレモンと組み合わせると、様々な相乗効果が期待できます。
その代表的な健康効果は、疲労回復効果と美肌効果です。
疲労回復効果
レモンに含まれるクエン酸は「TCA回路」という体内でエネルギーを生み出すサイクルを動かし、疲労のもとになる乳酸を分解します。
そこに、もやしのアスパラギン酸が加わることで、Wの疲労回復効果が期待できます。
美肌効果
レモンに多く含まれるビタミンCには抗酸化作用があり、しみやしわ、たるみなど肌の老化を防ぐ効果が期待できます。
そこにもやしのアスパラギン酸が加わることで、肌の新陳代謝を促進し、角質の水分を保持して、うるおいのある美肌へと導きます。
もやしを熱湯でさっと茹でて、レモン汁(大さじ2)と塩(小さじ1/3)に漬けるだけで簡単に作れて、手軽に栄養を摂取することができます。
砂糖を小さじ2杯ほど加えると酸味がやわらぎ食べやすくなりますよ。
もやしとレモンを組み合わせたもやしレモンは、冷蔵庫に常備しておくととても便利なので、よろしければ参考にしてみてくださいね。※12
※参照12/女子栄養大学の疲れをとるもやしレモン|発行所:株式会社エックスナレッジ|監修:三浦理代 レシピ作成・監修:柴田真希|P3~4、P14
もやしは価格的にも栄養的にも優れていますが、日持ちしにくいという欠点があります。
購入後はすぐに使うか、保存方法に気を付けることが大切です。
ここからは、もやしを長持ちさせるための保存方法についてご紹介します。
もやしを冷蔵保存する場合は冷蔵室で保存してください。
もやしは0~5℃が最適な保存温度です。
野菜室は庫内の温度が3~8℃に設定されている為、傷みやすくなります。
また、もやしの状態に応じて冷蔵方法を変えましょう。
ここでは
1.未開封のもやし
2.開封したもやし
上記2通りの保存方法をご紹介します。
1.未開封のもやし
未開封のまま冷蔵庫で保存しておくと傷みやすくなるので、爪楊枝などで小さな穴を1箇所空けてから冷蔵庫で保存しましょう。
未開封のまま冷蔵庫に保存しておくと、もやしから水分が出て味や食感が落ちてしまいます。
保存期間の目安は2~3日程度ですが、なるべく早めに消費するようにしましょう。
2.開封したもやし
開封したもやしは、タッパーに水を張り、もやしを浸して冷蔵庫で保存します。
保存期間の目安は5~7日程度です。
このとき、タッパーの水は毎日交換してください。
そうすることで、もやしの鮮度を保つことができます。
しかし、前述のとおり、もやしは傷みやすいので早めに消費してください。
もやしを冷凍保存する場合は、水気をよく切ってから食品用保存袋に入れて冷凍します。
冷凍することで長期間保存でき、必要なときに使うことができます。
しかし、もやしは冷凍させるとシャキシャキ感がなくなってしまうので、スープなどの汁物の料理に使うのがおすすめ。
冷凍したもやしを使う時は、自然解凍せずに凍ったまま料理に入れてください。
もやしを使った簡単で美味しいレシピを紹介します。
もやしとわかめをさっと和えるだけで完成する簡単な酢の物です。
ヘルシーで栄養たっぷりの一品です。
もやしと大葉を使ったナムルは、さっぱりとして家族みんなが喜ぶ一品です。
新鮮なもやしを選ぶポイントをご紹介します。
・もやしにハリがあるもの
・葉の部分が黄色いもの
・茎が白いもの
上記のポイントを基準に選ぶようにしましょう。
もやしの袋に水が溜まっていたり、茎が茶色くなったりしているものは鮮度が落ちているサインです。
購入する前に確認してみてくださいね。
もやしは安価で手軽に手に入る食材でありながら、豊富な栄養素を含んでいます。栄養たっぷりのもやし料理を食卓に取り入れ、様々なメニューに挑戦してみてくださいね!