ゴーヤは、その独特の苦味と栄養価の高さから「夏野菜の王様」とも呼ばれます。
しかし、「実際にどのような栄養があるの?」「苦味を減らす方法は?」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、ゴーヤの栄養素から効果的な食べ方、無駄なく美味しく食べる方法まで詳しくご紹介します!
ゴーヤは「夏野菜の王様」として知られ、その高い栄養価で健康や美容に役立つ食材です。
特にビタミンCやカリウム、葉酸、食物繊維、モモルデシンといった成分が豊富で、健康や美容に関するさまざまな効果が期待されています。
このテーマでは、これらの栄養素の効果と他の野菜との比較を詳しくご紹介します。
ゴーヤ100g(約1/2本)には、76mg※1のビタミンCが含まれており、これはトマトの約5倍に相当します。
ビタミンCは、タンパク質と一緒に摂ると栄養吸収率があがるといわれています。
この二つの栄養素の相乗効果により、コラーゲンの生成する働きを促進し、弾力やハリのある肌に導きます。
そのため、ビタミンCを含むゴーヤは、タンパク質の豊富な肉や豆腐と組み合わせて食べるのがおすすめです。
また、ゴーヤに含まれるビタミンCは加熱に強い特徴があるため、ゴーヤーチャンプルーなどの炒め料理でも、しっかり栄養を摂取できます。
※参照1/食品データベース
ゴーヤにはミネラルの中でもカリウムが多く含まれており、100g(約1/2本)あたり、260mg※2含まれています。
カリウムには以下のような健康効果が期待できます。
· むくみの解消:カリウムが余分なナトリウムを体外に排出し、体内の水分バランスを整えます。
· 血圧の上昇を防ぐ:カリウムは、ナトリウムの過剰摂取による血圧上昇を抑える働きがあります。
ナトリウムは食塩から摂取されることが一般的で、体内の水分バランスを維持するのに重要な栄養素です。しかし、摂り過ぎるとむくみや血圧上昇の原因になるため注意が必要です。※3
日本人は諸外国と比較してナトリウム摂取量が多いため、積極的にカリウムを摂取することをおすすめします。
※参照2/食品データベース
※参照3/厚生労働省 e-ヘルスネット|ナトリウム
ゴーヤ100g(約1/2本)には、72μgの葉酸※4が含まれています。
これは、きゅうりの約3倍にあたります。
葉酸は、赤血球の生成やDNA合成に必要な栄養素であり※5、妊娠中の方に欠かせないといわれているビタミンです。
この葉酸には胎児の健全な発育を助ける働きがあり、不足すると心疾患や神経管閉鎖障害を引き起こす可能性があります。
また、18歳以上の男女の1日の摂取推奨量は240μg、妊活中や妊娠中の女性は1日480μgの摂取が推奨されています。
日本人の1日の平均葉酸摂取量は288.7㎍※6であり、通常の食事からある程度摂取できる栄養素です。
しかし、妊娠中の方は前述の通り、胎児の正常な発育を支えるために、通常の2倍にあたる葉酸の摂取が必要です。
そのため、通常の食事に加え、意識的に葉酸を摂取するよう心がけましょう。
※参照4/食品データベース
※参照5/最新改訂版 知っておきたい栄養学|監修:栄養学博士 白鳥 早奈英|P97
※参照6/健康長寿ネット|葉酸の働きと1日の摂取量
ゴーヤ100g(約1/2本)には、2.6g※7の食物繊維が含まれており、キャベツ(1.8g)やきゅうり(1.1g)よりも多いです。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類されており、ゴーヤは、特に不溶性食物繊維が多く含まれています。
不溶性食物繊維は、体内で分解されず、腸内で消化された他の食べ物の粒子に付着し、排せつの速度を速めたり、体内の有害物質を排出させたりする効果があります。
食物繊維が不足すると、腸内環境が悪化し、便秘になりやすくなります。
便秘が続くと腸内環境が乱れ、肌荒れの原因になるため、食物繊維を積極的に摂取しましょう。
※参照7/食品データベース
ゴーヤ特有の苦味成分であるモモルデシンはフラボノイド系の成分で、免疫の向上や抗酸化作用など体の調節機能をサポートする働きがあります。※8
モモルデシンはゴーヤで初めて発見された成分といわれており、ゴーヤの代表的な栄養成分です。
モモルデシンは以下の効果が注目されています。
・胃腸の働きを助け、食欲を増進
・疲労回復や夏バテ防止に効果的※9
・血糖値や血圧の上昇を抑えることで、生活習慣病の予防に役立つ※10
特有の苦味があるため、毒なのでは?と思う方もいるかもしれませんが、食中毒を引き起こすものではありません。
しかし、大量に摂取すると胃酸が過剰分泌され、胸やけを起こす可能性があるため、食べすぎには気を付けましょう。
こういった注意点については、「4.ゴーヤを摂取する際の注意点」で詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。
※参照8/健康長寿ネット|フラボノイドの種類と効果と摂取量
※参照9/野菜まるごと大図鑑|発行:主婦の友社|P32-33
※参照10/日本クリニック株式会社|食養相談室 健康コラム|「ゴーヤー」
ゴーヤには多くの栄養素が含まれており、さまざまな健康効果が期待されています。
特に、胃腸の働きを助ける効果、血糖値を下げる作用、美肌効果が注目されています。
以下では、それぞれの効果について詳しく解説します。
ゴーヤには、胃腸の働きを助けるモモルデシンという成分が含まれています。
この成分は胃の粘膜を保護し、胃液の分泌を促進することで、消化を助け、食欲を増進させる効果があります。
特に夏場は、暑さによる食欲不振が原因で十分な栄養を摂取できず、疲労や夏バテを感じやすくなります。
そんな時に、ゴーヤを取り入れると前述のモモルデシンの働きで食欲が改善され、栄養が摂取できるため、疲労回復に役立つのです。
また、ゴーヤだけでなく、みょうがや枝豆などの夏野菜にも胃腸をサポートする成分が含まれているため、これらを組み合わせて食事に取り入れることで、さらに効果的に夏バテを予防・改善することができます。
ゴーヤの苦味成分モモルデシンには、血糖値や血圧を下げる働きがあります。
さらに、チャランチンという脂溶性物質も含まれており、この成分はインスリンの分泌を促進し、血糖値を適正な範囲に保つ作用があります。※11
チャランチンは「植物インスリン」とも呼ばれ、糖尿病予防にも役立つとされています。※12
ゴーヤの摂取を習慣化することで、血圧や血糖値に関する生活習慣病のリスク低減が期待できます。
※参照11/おらがまち|ゴーヤ -時期 6月~9月
※参照12/野菜まるごと大図鑑|発行:主婦の友社|P32-33
ゴーヤは、豊富なビタミンCを含み、コラーゲンの生成を助けることで肌の弾力やハリを保ちます。
また、ビタミンCは抗酸化作用があり、紫外線ダメージを軽減し、しみやシワを防ぐ効果も期待できます。
一般的に、ビタミンCは加熱によって壊れやすい栄養素ですが、ゴーヤに含まれるビタミンCは熱に強く、加熱調理でも栄養効果を損なわずに摂取できる貴重な栄養源です。
加熱することで苦みが抑えられるので、ゴーヤを美味しく食べながらビタミンCを効率的に摂取できます。
特に、ゴーヤチャンプルーのような炒め料理やスープにすることで、熱に強いビタミンCとともに他の栄養素もバランスよく摂取できます。
ゴーヤは調理法の工夫次第で、栄養価をさらに高めることができます。
このテーマでは、ゴーヤの栄養を無駄なく活用する具体的な方法を解説します。
ゴーヤは沖縄県や宮崎県などの温暖な地域で主に栽培されています。
国内シェアの40%を占める沖縄県では、県を代表する有名な農産物の一つでもあります。
そんなゴーヤの旬は、6月~8月の夏真っ盛り。
この時期に市場に多く出回るゴーヤは、鮮度が高く、ビタミンCやモモルデシンなどの栄養が凝縮されています。
ゴーヤを調理する際、栄養素の流出を極力防ぐため、下ごしらえの仕方を工夫しましょう。
例えば、
・塩もみをする際は水に長時間さらさない
・加熱する際は長時間加熱しすぎない
ゴーヤに含まれるビタミンCは、デンプンによって守られ、硬い皮に包まれているため、加熱にも強い特性を持っています。
しかし、加熱しすぎると栄養素が流出してしまう可能性があります。
そのため、調理の際にはこれらの点に注意しましょう。
ゴーヤのワタは果肉に比べてもビタミンCを多く含む部位ですが、捨てられることが少なくありません。
実は、この部分も調理することで美味しく栄養を摂取できます。
ワタを素揚げにすることで、苦みが和らぎ食べやすくなります。
また、スープに使用する場合は、煮汁ごと摂取すれば、水に溶けやすいビタミンCやモモルデシンなどの栄養も無駄にすることなく摂取できます。
ゴーヤに含まれるβ―カロテンやビタミンKは脂溶性ビタミンです。
これら脂溶性の栄養素は油で調理することで、生で食べた場合に比べて栄養価が高くなり、吸収率を高めることができます。
また、油で炒めると苦味が和らぎ、より食べやすくなるというメリットも。
また、前述した血糖値を適正に保つ働きがあるチャランチンも脂溶性物質であるため、油で調理することにより栄養吸収率が良くなります。
例えば、ゴーヤチャンプルーのような炒め物は、油を使った代表的な調理法であり、栄養を効率的に摂取できるのでおすすめです。
ぜひ、日々の食卓に取り入れてみてください。
この章では、ゴーヤを食べる際のポイントと注意点を詳しく解説します。
ゴーヤの食べすぎによる体に与える影響や、体調や摂取量に気をつけながら、美味しく安全にゴーヤを取り入れましょう。
前述の通り、ゴーヤに含まれるモモルデシンは胃酸の分泌を促す働きがあり、食欲を増進する効果があります。
しかし、一度に食べすぎてしまうと、胃酸が大量に分泌されて胃腸に負担をかける可能性があります。
これにより、消化不良や胃痛、胸やけといった症状が引き起こされることもあるため、一度に大量に食べるのは避けましょう。
1日に1/4~1/2本程度を目安とし、胃腸が弱い方や空腹時は摂取量を控えめにするなど、体調に応じて調整しましょう。
ゴーヤを含むウリ科の野菜(ユウガオ、ズッキーニ、きゅうりなど)には、稀にククルビタシンという苦み成分が含まれている場合があります。この成分は、嘔吐や下痢などを伴う胃腸障害を引き起こすことがあります。
ゴーヤの主な苦み成分はモモルデシンですが、まれにククルビタシンが混在する場合もあります。
通常よりも強い苦みやいつもと違う異常な味を感じた際には、そのゴーヤを食べないことが重要です。
ゴーヤについて、適量や調理法、種類ごとの栄養価など、よくある疑問をまとめました。
日々の食生活にゴーヤを取り入れる際の参考にしてください。
日常的にゴーヤを取り入れる場合は、1日に1/4~1/2本程度を目安にしましょう。
適量を守ることで、前述のような過剰摂取による消化不良や胃腸への負担を防ぐことができます。
他の野菜と組み合わせ、栄養バランスを考えて摂取することが大切です。
ゴーヤの苦味が苦手な方は、加熱や塩もみをすることで軽減することができます。
ゴーヤの苦味を軽減する調理法4つをご紹介します。
・塩もみ…薄切りにしたゴーヤを塩もみし、10分ほど置いてから水洗いする
・湯通し…塩もみ後にさっと湯通しするとさらに苦味が和らぎます。
・甘みのある食材と合わせる…はちみつ漬けや味噌で和えると苦みが軽減され、まろやかな味わいになります。
・卵、豆腐と合わせる…卵と豆腐と炒めるゴーヤーチャンプルーは苦味を抑えてくれるため、ゴーヤが苦手な方におすすめしたい調理法です。
苦味がどうしても気になる方は、塩もみと湯通しを組み合わせ、甘みのある食材やチャンプルーにすることで格段に食べやすくなるので是非試してみてくださいね。
ゴーヤには一般的な緑色のものや白ゴーヤなどがあります。
緑色のゴーヤの方が白色に比べて栄養価が高いと言われています。
以下ではそれぞれの特徴を見てみましょう。
最も一般的なゴーヤで、長さは25センチ程度。
イボが密集しており、濃い緑色のものが新鮮な印です。
キリっとした苦みが特徴でチャンプルーや天ぷらに適しています。
長さが15センチと中長ゴーヤに比べると短めで丸い形状が特徴です。
沖縄在来の品種で、肉厚でみずみずしく、中長ゴーヤよりも苦みが控えめです。
真っ白な見た目が特徴で、苦みが少なく、生食でも美味しく食べられます。
ただし、緑色のゴーヤに比べると栄養価がやや低いとされています。
以上、今回はゴーヤの代表的な品種3つをご紹介しました。
種類によって苦味や栄養価が異なるため、好みや目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
ゴーヤは、その豊富な栄養素から夏バテ予防や健康維持に欠かせない野菜です。
ゴーヤに含まれるビタミンCやカリウムなどの栄養成分は、美肌効果や免疫力の向上に役立ち、特に苦味成分「モモルデシン」は胃腸を整える効果も期待されます。
ゴーヤの栄養を最大限に活かし、健康維持に役立てましょう。