※ 参照1/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 ズッキーニ(果実・生)より
ズッキーニは94.9%が水分で構成されており、フレッシュさが特徴的な野菜です。
しかし、ズッキーニの魅力は水分量の多さだけではありません。
ビタミンやミネラルをはじめ、私たちの体に欠かせない栄養素をバランスよく含んでいることも特筆すべき点として挙げられます。
なかでも特に注目すべきは、そのカリウムの含有量です。
カリウムが豊富な果物としてバナナがよく知られていますが、ズッキーニはそれに匹敵するほどのカリウムを含んでいます。※2
このように、ズッキーニは水分補給と栄養補給を同時に叶える理想的な食材です。
日々の食事に取り入れることで、健康的な生活をサポートしてくれることでしょう。
※ 参照2/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 バナナ(果実類・生)より
ズッキーニの主な栄養素とその健康効果5選
さて、ズッキーニ(100g)に含まれる主な栄養成分を見ていただいたところで、次はその栄養をもう少し詳しく見ていきましょう。
今回は、特に注目したい5つの栄養とその健康効果をご紹介します。
1.むくみや高血圧の予防に効果的なカリウム
カリウムは、成人の体内に約120g〜200g存在するミネラルの一種で、健康維持に欠かせない重要な栄養素です。
この栄養素は、細胞内液の浸透圧を一定に保ちつつ、余分なナトリウムを体外へ排出する働きを持っています。※3
日本人は食事で食塩を多く使用する傾向があり、結果としてナトリウムを過剰に摂取しがちです。
ナトリウムが過剰に蓄積されると、血管内の水分量が増加し、むくみや高血圧の原因となるうえに、胃がん・食道がんのリスクを高めることも。※4
しかし、適切なカリウムを摂取することで、尿とともに余分なナトリウムを体外に排出しやすくなり、これらの問題を防ぐことができるのです。
※参照3/ 厚生労働省|e-ヘルスネット カリウム
※参照4/ 厚生労働省|e-ヘルスネット ナトリウム
2.脂質・糖質・ナトリウムを体外に排出する食物繊維
食物繊維は、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあるため、これらを摂り過ぎることによって引き起こされる肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧といった生活習慣病の予防効果が期待できるでしょう。
他に、便通を整えてくれる働きがあります。※5
※参照5/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維
3.植物性食品の鉄分を効率よく摂取できるビタミンC
ビタミンCには、「豆類」「野菜類」「海藻類」※6などの植物性食品に含まれる鉄分の吸収を促進する働きがあります。
鉄分を効率よく摂取したい方は、植物性食品とビタミンCを組み合わせて摂取することをおすすめします。
以下に、鉄分を豊富に含む植物性食品をご紹介しますので参考にしてください。
上記表をご覧いただくと、がんもどき1食あたりの含有量の多さが見て取れます。
がんもどきは豆腐(大豆)を主原料としており、さらにひじき(海藻)やごぼうなど鉄分が豊富な食材を使用して作られているため、鉄分補給に適した食品なのです。
また、ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせない栄養素でもあります。
コラーゲンは、肌や骨、血管などの構造を維持するために重要で、ビタミンCが不足するとこれらの組織の修復が遅れる可能性があるのです。※7
※参照6/ 国立がん研究センター|資料①『鉄の豊富な食品と吸収率』
※参照7/ 厚生労働省|「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 ビタミンC
4.がんや老化を引き起こす活性酸素の抑制に役立つβカロテン
β-カロテンには、活性酸素の働きを抑える優れた抗酸化作用があります。
活性酸素は、動脈硬化を引き起こす過酸化脂質を生成する要因となるのです。
また、がんや老化、免疫機能の低下を招くなど、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
β-カロテンは、これらの有害な活性酸素の発生を抑え、体内から取り除くことで、がんや老化の予防に役立つのです。
人間の体は本来、酵素によって活性酸素を抑える機能を備えていますが、年齢と共に体内で作られる酵素の量が減少するため、ズッキーニなどの食材から栄養を補うことが大切と言えます。※8
※参照8/ 厚生労働省|e‐ヘルスネット 抗酸化ビタミン
5.体内の300種類以上の酵素を活性化するマグネシウム
マグネシウムは人体に必要なミネラルのひとつです。
成人の場合、体内には約20〜30gが存在しており、約60%がリン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムの形で骨や歯に含まれ、残りは筋肉や脳、神経に分布しています。
また、マグネシウムは300種類以上の酵素の活性化に関与し、筋肉の収縮、神経伝達、体温や血圧の調節といった重要な役割を果たしています。※9
※参照9/ 厚生労働省|e‐ヘルスネット マグネシウム
ズッキーニの栄養を効率的に摂る食べ方や調理方法
ご紹介したように、ズッキーニには多くの栄養素が含まれており、さまざまな健康効果が期待できます。
せっかくなら、その栄養を損なうことなく効率的に摂取できると嬉しいですよね。
そこでここからは、ズッキーニの栄養を効率よく摂るためのおすすめの食べ方や調理方法をご紹介します。
ズッキーニは生で食べる
結論として、ズッキーニは生のまま食べることで、栄養素を効率よく摂取することができます。
ズッキーニに含まれる栄養素の中には、水に溶けやすいもの※10や、熱に弱いもの※11があり、加熱や茹でる過程で失われてしまう場合があります。
具体的には、カリウム、ビタミンC、ビタミンB群などが該当します。
そのため、ズッキーニの栄養をしっかり摂取したい方には、生での摂取がおすすめです。
薄切りにしてサラダに加えたり、スライスしてカルパッチョ風に仕上げたりと、生のズッキーニを取り入れる方法をぜひ試してみてください。
※参照10/ 独立行政法人国立健康・栄養研究所|ビタミンについて
※参照11/ 東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター|慢性腎臓病の食事療法
ズッキーニは油と一緒に摂る
ズッキーニに含まれる栄養素のひとつであるβ-カロテンは脂溶性のビタミンです。
脂溶性ビタミンは油脂に溶ける性質を持つため、油と一緒に摂取することでβ-カロテンの吸収率が向上します。
例えば、サラダにオイルベースのドレッシングをかける方法や、肉・チーズ・ナッツ類など脂質を含む食材と組み合わせることで、栄養素の吸収を高めることができます。※12
ただし、油はカロリーが高いため、使用量には注意が必要です。
例えば、オリーブオイル大さじ1杯(約134kcal)は、ご飯小盛り1杯(約156kcal)とほぼ同じカロリーに相当します。
健康的にズッキーニを楽しむためにも、適量を心掛けることが大切といえるでしょう。
※参照12/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 緑黄色野菜
ズッキーニは電子レンジで調理する
栄養価を重視するなら生で食べるのが理想的ですが、加熱調理をしたいという方には電子レンジの利用をおすすめします。
ズッキーニのような野菜に含まれるビタミンCは、加熱調理によってその量が変化します。
ビタミンCは熱に弱い栄養素であり、加熱時間が短いほど多くのビタミンCが残る傾向があるのです。
そのため、ズッキーニを加熱する際には、茹でるよりも電子レンジを使った調理の方が短時間で加熱でき、ビタミンCの損失を抑えることができます。
さらに、ビタミンCやカリウムは水溶性であるため、茹でることでこれらの栄養素が茹で汁に溶け出してしまいます。
水を使わない電子レンジ調理では、これらの栄養素の流出を最小限に抑えることができるため、より効率よくビタミンやミネラルを摂取することができるでしょう。※13
※参照13/ 東京都保健医療局|東京都食品安全FAQ
ズッキーニの基礎知識Q&A!ズッキーニってどんな野菜?食べる時の注意点は
ズッキーニは、日本で親しまれるようになってまだ歴史の浅い野菜のため、意外と知られていないことも多いはず。
ここでは、ズッキーニの特徴や食べる際の注意点など、知っておきたいポイントをQ&A形式で分かりやすくご紹介します!
Q1.ズッキーニってどんな野菜ですか?
ズッキーニの原産地は北アメリカ南部やメキシコ北部とされていますが、イタリア料理やフランス料理でも広く使われる食材です。
ズッキーニといえば、ラタトゥイユのような煮込み料理やソテーで調理するイメージがあるかもしれませんが、実は生でも美味しく楽しめる野菜。
日本で本格的に食べられるようになったのは1980年代頃からと比較的新しい野菜ですが、クセのない味わいがどんな料理にも合うことから人気が定着し、今では夏野菜の定番となっています。
見た目はきゅうりに似ていますが、実はカボチャ(ウリ科カボチャ属)の仲間です。※14
名前の由来はイタリア語で「小さなカボチャ」を意味する言葉からきているのだそう。
ズッキーニは、品種によって色や形が多彩に広がることをご存知でしょうか?
黒っぽい緑色から、白、鮮やかな黄色までバリエーション豊かなうえに、形もきゅうりのような細長いものから、丸型や特徴的なUFO型までさまざま。
日本でもその消費量は年々増加しており、長野県や宮崎県などで栽培が盛んに行われています。※15
※参照14/ 長野県産業労働部 営業局|ズッキーニの収穫量 日本一
※参照15/ 農林水産省|夏の食材で「涼」を感じよう<野菜編
Q2.食べる際の注意点はありますか?
ズッキーニやユウガオ、キュウリなどウリ科の野菜を食べた時に、まれに強い苦味を感じることがあります。
この苦味の原因は「ククルビタシン」という成分で、通常の食用品種では含有量が少なくなるよう改良されています。※16
しかし、環境条件や成長過程の影響で、まれにククルビタシンが多く含まれることも。
この成分を多量に摂取すると、下痢や嘔吐などの食中毒症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
また、ククルビタシンは加熱しても分解されないため、調理で取り除くことはできません。
調理前に味見を行い、異常な苦味を感じた場合は食べずに処分してください。※17
こうした野菜に出会う機会は少ないものの、適切に対応することで健康被害を防ぐことができます。
※参照16/ 苦味が強いズッキーニが稀にあるが、食べても大丈夫ですか。
※参照17/ 化学物質及び自然毒による食中毒事件例(令和 2 年)
ズッキーニの栄養を効率的に摂るためのおすすめレシピ
ここからは、ズッキーニの栄養を効率よく摂取できる栄養満点なレシピを3つご紹介します。
食品の栄養価は文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より引用しています。
生で食べる!ズッキーニのわさび醤油サラダ
材料(2人分)
カロリー 89 kcal(1人あたり)
ズッキーニ 1本(200g)
ミニトマト 5粒(100g)
☆麺つゆ(ストレート) 大さじ1と1/2
☆わさび 小さじ1/2
☆黒コショウ 少々
☆レモン汁 小さじ1
☆オリーブオイル 大さじ1
作り方
① ズッキーニはスライサーで縦に薄切りにし、ミニトマトはくし形に切る。
② ボウルに☆を入れ、よく混ぜ合わせる。
③ ズッキーニとトマトを②のドレッシングで和え、器に盛り付けたら完成。
お好みで、ナッツやドライフルーツ、青じそやごまをトッピングするとさらに風味豊かに仕上がります。
油と一緒にいただく!ズッキーニとチーズのツナマヨ焼き
材料(2人分)
カロリー 291 kcal(1人あたり)
ズッキーニ 1本(200g)
ツナ缶(油漬け) 1缶(70g)
☆マヨネーズ 大さじ2
☆塩・こしょう 少々
ピザ用チーズ 50g
作り方
① ズッキーニのへたを切り落とし、縦半分に切る。
② ボウルにツナと☆を入れ、よく混ぜる。
③ 耐熱皿にズッキーニを並べ、②を上にのせ、ピザ用チーズをふりかける。
④ 200℃に予熱したオーブンで10分程度焼き、こんがりと色がついたら完成。
仕上げにパセリを散らすと見た目が鮮やかになります。
電子レンジで簡単調理!ズッキーニとシラスのアヒージョ
材料(2人分)
カロリー 171 kcal(1人あたり)
ズッキーニ 1本(200g)
シラス干し 30g
☆オリーブオイル 大さじ3
☆にんにく 1片(みじん切り)
☆塩 ひとつまみ
☆赤唐辛子 (お好み量)
作り方
① ズッキーニを1cm幅の輪切りにする。
② 耐熱容器に全ての材料を入れて軽く混ぜる。
③ ラップをふんわりとかけ、電子レンジ(600W)で3〜4分加熱する。
④ よく混ぜて器に盛り付けたら完成。
パンやバゲットを添えると、さらに美味しく楽しめます。
まとめ
ズッキーニは、クセのない味わいと幅広い調理法で楽しめるだけでなく、カリウムやビタミンC、βカロテンなど、健康に役立つ栄養素を豊富に含む夏野菜です。
また、調理方法を工夫することで、その栄養を効率よく摂取することができます。
一方で、まれに強い苦味を持つ個体があり、その成分(ククルビタシン)による食中毒のリスクがある点に注意が必要です。
この記事でご紹介した栄養素や調理法、注意点を参考に、ズッキーニを日々の食卓に取り入れてみてください。