「子育て罰」という言葉を聞いたことがありますか?
子どもは社会の宝、子どもを持ち、育てることは幸せ!
社会ではそんなふうにもてはやされますが、実際に子どもを産んでみると、子育て世代に対する風当たりの強さを実感します。
「子育て罰」とは、子育てによって被る経済、社会、キャリア的なデメリットを指し、「子どもを産み育てること=罪」、つまり、子どもを持ったことによって社会から罰を受ける……ということ。
子どもは未来の社会を担う存在です。
将来を考えれば、子なしの人たちにとっても子育て支援は重要なこと。
それなのに、なぜ子どもを持つと「罰」を受けなければならないのでしょうか?
子どもを産み育てるにはお金がかかります。
「妊娠出産は病気ではないから」と毎月の健診や出産費用は保険が効きませんし、高校、大学とステージが進むごとに出費も増えます。
さらに物価は上昇し続けるのに対し、給料は据え置き……という地獄。
子ども一人育てるのに約2000万円かかると言われていますが、頑張って稼げば子ども手当はカットされ、保育料は高くなり、子どもの医療費助成がなくなることも。
これでは、高収入であっても子どもを持つことを躊躇する夫婦が出るのも当然ですよね。
今年3月にイギリスの経済誌『エコノミスト』が発表した女性の働きやすさランキングによると、先進国29カ国中、日本は7年連続ワースト2位!
この結果について、同誌は、日本が「いまだに女性が家族かキャリアのどちらかを選ばなければならない状況」と指摘します。
家族のために仕事をセーブすれば収入は減り、子どもの可能性を狭めることになりかねません。
仕事を増やせば手当がなくなり、子どもと過ごす時間は減るでしょう。
仕事をしながら家事をして習い事の送迎……と考えると、精神的、体力的な負担はかなり大きくなりますよね。
身もフタもないですが、子育ては疲れます。
実家が近く、両親のサポートを受けられれば多少楽ですが、そうではない人も多いはず。
とはいえ、国のサポートが手厚いわけでもありません。
子育て世代への手当を出せば社会から「バラマキ」と批判され、児童手当には所得制限が設けられる。
全ての人が満足する社会は存在しませんが、あまりにも子育て世帯への風当たりは冷たいと感じざるを得ません。
こういった話題がニュースになるたび、「金がないなら子どもを産むな」などという言葉を目にしますが、いつか子どもが育てやすい社会に変わっていく時は来るのでしょうか?
子育てが一方的に罰となるものではないことは明らかですが、子育ての困難さとそれに対する社会的な理解や支援の不足を表現するのに、「子育て罰」という言葉は悲しすぎますね。
いつか「子育て罰」が「子育てボーナス」となることを願って止みません。