子育てにはお金がかかりますが、妊娠から出産までの間も赤ちゃんグッズの用意や健診費用など何かとお金がかかりますよね。
中でも出産費用は高額で、最も高い東京都では正常分娩の平均額が56万5092円。
出産一時金の50万円を差し引いても、自己負担額が数十万円という人も珍しくありません。
そんな中、今年3月、岸田首相が掲げる「異次元の少子化対策」の一環として、出産費用の保険適用導入案が盛り込まれました。
果たして、出産費用が保険適用になると、妊産婦にとってどれくらいのメリットがあるのでしょうか?
これまで「妊娠出産は病気ではない」とされ、健診や正常分娩には健康保険が適用されてきませんでした。
加えて医療行為を伴わない正常分娩は、医療機関などが料金を独自に設定する自由診療。
そのため、年平均1%ずつ上昇する出産費用(※1)と比例するように妊産婦の負担も増加。
これが保険適用になれば、どこの医療機関でも同じ金額で出産することができ、出産一時金が廃止になっても自己負担は少なくなりそうですよね。
診療報酬点数についてはこれから調整されるため具体的な金額は不明ですが、所得に応じて支払う金額が一定になることはメリットと感じられそうです。
一方、分娩施設の予約プラットフォームを運営するスペシャリスト・ドクターズの調査(※2)によると、医療機関側はこれに対し難色を示しているようなのです。
同社が全国90の医療機関に対して行った調査では、「出産費用の保険適用についてどのように感じたか?」という質問に対し79%が「反対」と回答。
理由について医師たちからは、
といったコメントが寄せられ、診療報酬点数の低さからの収益悪化により、経営が維持できない、また、従来通りの安全な分娩やサービスが保証できないことを懸念している声が上がりました。
「保険適用された場合、どのようなことに取り組むか?」(複数回答可)という質問に対しては「お祝膳や妊婦さんへの特典を取りやめ」(61施設)、「人件費を削減」(36施設)と続き、中には「分娩の取り扱いをやめる」(9施設)という回答も!
さらに「出産費用(正常分娩)が保険適用された場合、その後も分娩を継続するか?」という問いに対し、約4割の医療機関が「分娩取り扱い中止を視野に入れている」と回答。
金額が均一化されると同時に、病院ごとに提供されていたサービスまで簡易化されたり、産科・産院自体をなくすということにまで発展しかねないとなると、本当に保険適用すべきなのか慎重に検討した方がよさそうです。
「出産費用が高いから産み控える」という人がどれくらいいるのかは不明ですが、それでもお金の心配をせずに子どもを産み育てられる社会になれば、より少子化に歯止めをかける有効な対策となることは明らかです。
みなさんは出産費用の保険適用に賛成ですか? 反対ですか?
分娩費用が安くなったとして、サービスの低下や産科の数が激減するとしたら、それは本当に妊産婦にとってメリットと言えるのでしょうか?
みなさんも、今後の日本の未来のために、分娩費用の保険適用について考えてみませんか。