納豆は、日本の伝統的な発酵食品として広く知られていますが、その具体的なカロリーや栄養価についてはあまり知られていないかもしれません。
本記事では、納豆のカロリーや栄養成分をはじめ、納豆が健康や美容に良いとされる理由や、納豆を使ったヘルシーで簡単な時短レシピも併せてご紹介します。納豆の持つ魅力を知り、普段の健康維持やダイエットに役立ていただければ幸いです。
食品の栄養価は、文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より引用しています。
目次
1. 納豆1パックのカロリー・糖質・タンパク質は?他の食材と比較
2. 納豆の主な栄養素と、健康・美容に取り入れたい栄養素4選
① 納豆の主な栄養素
・大豆イソフラボン~ 骨粗しょう症や乳がんなどの予防効果に期待~
4. おわりに
納豆1パック(四角型)には、40~50g程度の納豆が入っています。
今回はその中間値である、45gの納豆に含まれるカロリー・糖質・タンパク質を詳しく見ていきましょう。
上記のデータだけでは、納豆が高カロリーなのか低カロリーなのか、また糖質が多いのか少ないのか、イメージしづらいかもしれません。
そこで、より分かりやすくする為に、他の一般的な食品と比較してみましょう。
下記の表では、納豆と同量の45gあたりのデータを示しています。
・納豆のカロリーについて
納豆のカロリーを上記食品と比較すると、ごはんや卵よりやや高めですが、食パンやハムに比べると低めであり、中間的な値です。
エネルギー供給の観点から見ても、納豆は適度でバランスの良い食品と言えるでのはないでしょうか。
カロリーが程良く、効率的にエネルギーを摂取できる納豆は、ダイエットやエネルギー摂取量をコントロールしたい方におすすめです。
特に、1パックあたり83kcalという手軽さは、下記の1日に必要なエネルギー摂取量を考慮しても気兼ねなく取り入れやすいカロリー量と言えます。
【1日に必要な平均的エネルギー摂取量】
女性:1400~2000kcal
男性:2200±200kcal 程度(※1)
※参照1/ 農林水産省|一日に必要なエネルギー量と摂取の目安
・納豆の糖質について
納豆の糖質は、ごはんや食パンと比較すると非常に少なく、具体的には、ごはんの約1/16・食パンの約1/19しかありません。
食品に含まれる糖質は、消費されずに余ると中性脂肪として体内に蓄積され、肥満や生活習慣病の原因となります。(※2)
その為、納豆のような低糖質食品を日常の食事に取り入れることは、ダイエットや健康管理に有効な手段と言えるのではないでしょうか。
※参照2/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 炭水化物/糖質
・納豆のタンパク質について
納豆は高タンパク質な食材であり、タンパク質源として優れています。タンパク質は、動物性と植物性の2種類に分けられますが、納豆は動物性タンパク質であるハムに次ぐ高いタンパク質含有量を誇ります。
タンパク質を豊富に含む食品としては、卵類、肉類、豆類が挙げられます。特に納豆の原料である大豆は、良質なタンパク質を多く含む優れた食品です。(※3)
※参照3/ 厚生労働省|e-ヘルスネット たんぱく質
納豆は、1パックあたりのカロリーが83kcalという、普段の食事に取り入れやすい適度なカロリーであることが特徴です。
また、糖質も非常に少ない為、余分な糖質が中性脂肪として体内に蓄積されるリスクを減らし、ダイエットや健康管理に役立ちます。
食物繊維も豊富で、100gあたり9.5g含まれています。食物繊維は、脂質や糖質、ナトリウム(塩分)を吸着して体外に排出する働きがあり、これらの過剰摂取による肥満や生活習慣病の予防・改善が期待されています。(※4)
これらの特性から、納豆はダイエットやエネルギー摂取量をコントロールしたい方におすすめの食品と言えます。
※参照4/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維
普段何気なく食べている納豆には、体に有益な栄養素が豊富に含まれており、その栄養価の高さから「スーパーフード」とも称されています。
本項では、納豆に含まれる栄養素を表にまとめてご紹介します。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
炭水化物 | 12.1g |
タンパク質 | 16.5g |
脂質 | 10.0g |
糖質 | 2.6g |
食物繊維 | 9.5g |
ビタミンB1 | 0.13mg |
ビタミンB2 | 0.30mg |
ビタミンB6 | 0.24mg |
ビタミンE | 0.5mg |
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
ビタミンK | 870μg |
カルシウム | 91mg |
マグネシウム | 100mg |
鉄 | 3.3mg |
カリウム | 690mg |
イソフラボン(※5) | 73.5mg |
ナイアシン | 0.6mg |
葉酸 | 130μg |
ビオチン | 18.2μg |
※参照5/ 厚生労働省|「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
問5.大豆イソフラボンは、どのような食品にどのくらい含まれていますか。
納豆は、その手軽さと栄養の豊富さから、忙しい現代人にとって理想的な食品と言えるのではないでしょうか。
本項では、特に注目すべき健康・美容に良いとされる栄養素を4つピックアップし詳しくご紹介します。
納豆には100gあたり9.5gの食物繊維が含まれています。食物繊維は人体の消化酵素では消化されず、腸内環境を整える効果が広く知られています。
さらに、食物繊維は脂質や糖質、ナトリウム(塩分)を吸着して体外に排出する働きがあり、これらの過剰摂取による肥満や生活習慣病の予防・改善が期待されています。(※6)
しかし、近年の食生活の変化により、日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあります。
18~64歳の推奨摂取量は、男性で21g以上、女性で18g以上です。(※7)納豆1パック(45g)には4.3gの食物繊維が含まれている為、毎日の食事に納豆を取り入れることで、必要な食物繊維を手軽に補うことができます。
※参照6/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維
※参照7/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
タンパク質は、筋肉、臓器、皮膚など、体の主要な部分を構成するだけでなく、ホルモンや抗体など、体の調子を整える物質の材料としても不可欠です。(※8)つまり、十分なタンパク質を摂取することにより、筋肉の維持や成長を促進し、また、肌や髪の健康を維持します。
ただし、摂取量には注意が必要です。過剰摂取は、肝臓や腎臓に負担をかけ、疲労感や倦怠感を引き起こす可能性があります。 1日の適量を守り、バランス良く取り入れることをおすすめします。
【タンパク質の1日の目安摂取量】
18~64歳までの成人男性65g、成人女性50g程度 (※9)
※参照8/ 厚生労働省|e-ヘルスネット たんぱく質
※参照9/ 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) タンパク質 p.106~126
ビタミンB群は、私たちの健康を支える重要な水溶性ビタミンであり、体内での代謝を助け、エネルギー生成や細胞の再生に不可欠な役割を果たします。
ビタミンB群には、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンが含まれており、それぞれが独自の重要な機能を担います。(※10)
納豆には、これら全てのビタミンB群が含まれており、本項ではダイエットやアンチエイジングに期待できる栄養素を抜粋してご紹介したいと思います。
ビタミンB2はエネルギー代謝に関与するビタミンであり、ダイエット中の方には嬉しい栄養素です。このビタミンが不足すると、口内炎や口角炎、舌炎などの症状が現れることがあります。 (※11)
ナイアシンは、エネルギー生産・細胞の保護・DNA修復といった、生命を維持する基本的なプロセスに不可欠です。ビタミンCやEと共に、細胞を酸化ストレスから守り、老化や病気のリスクを減らす働きをします。 (※12)
ビオチンは、皮膚や粘膜の健康を維持し、美しい肌や髪を保つのに役立ちます。(※13)
毎日の食事に納豆を取り入れることで、これらの重要な栄養素を手軽に摂取することができ、健康維持と美容をサポートしてくれます。
※参照10/ 全国健康保険協会 |「なんとなくだる~い」・・・に喝!「ビタミンB群」(令和5年7月)
※参照11/ 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) ビタミンB2 p.214
※参照12/ 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) ナイアシン p.218
※参照13/ 厚生労働省|薬事・食品衛生審議会 資料2-2
納豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと分子構造が似ているため、植物性エストロゲンとも呼ばれています。
大豆イソフラボンは、骨粗しょう症や乳がん、前立腺がん、更年期症状の緩和など、様々な健康効果が期待されています。
しかし、一方では、乳がんの発症や再発のリスクを高める可能性があるとも報告されています。
食品安全委員会によると、日本人の食生活における大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限は70~75mgです。
適切に取り入れることにより、多くの恩恵を受けることができるでしょう。 (※14)
※参照14/ 食品安全委員会| 食べものについて知っておきたいこと 食べ物に関するミニ知識、その他 大豆イソフラボン p.41
本項では、納豆と他の食材を組み合わせた簡単でヘルシーな時短レシピをご紹介します。
納豆は勿論、他の食材に含まれる栄養価を知り、普段の健康維持に役立てていただければ幸いです。
納豆に含まれるビタミンB1は、 「疲労回復ビタミン」とも呼ばれ、エネルギー生成に不可欠な栄養素です。ビタミンB1が不足すると、食事から摂った糖質を効率よくエネルギー変換できなくなり、細胞でエネルギーが不足すると疲れやすくなります。(※15)
ネギのアリシンはビタミンB1と結合しアリアチアミンとなることで、ビタミンB1の吸収促進を高め、疲労回復や新陳代謝の活性化などに一役買います。 (※16)
カロリー 153kcal(1人あたり)
納豆 2パック 90g(166kcal)
ネギ 20g(6kcal)
☆ごま油 大さじ1(134kcal)
☆塩 小さじ1(0kcal)
①ねぎを千切りにする。
②ボウルにネギ以外の材料を全部入れ和える。
③最後にネギを添える。
※参照15/ アリナミン製薬株式会社|ビタミンB1はなぜ必要?ビタミンB1の働きや効果的な摂り方も紹介
※参照16/ 独立行政法人 農畜産業振興機構|今月の野菜-ねぎ-2012年10月 p.1
納豆に含まれるビタミンB2は、主要栄養素と呼ばれる「糖質・脂質・タンパク質」の中でも「脂質」の代謝に深く関わっており、脂質を分解してエネルギーに変える過程で必要とされる栄養素です。(※17)
舞茸には、食物繊維が豊富に含まれており、脂質や糖質を吸着して体外に排出する働きがある為(※18)、いずれもダイエットにおすすめな食材と言えます。
カロリー 84kcal(1人あたり)
納豆 1パック 45g(83kcal)
舞茸 100g(22kcal)
水 400cc(0kcal)
☆味噌 大さじ2(62kcal)
①鍋に、水と割いた舞茸を入れ、火にかける。
②舞茸に火が通ったら、納豆と☆を溶き入れる。
◆舞茸から出汁が出るので、あえて顆粒だしなどは使いません。
素材の味を楽しんでみてください。
※参照17/ アリナミン製薬株式会社|ビタミンB2の働きとは?多く含まれる食べ物や1日に必要な摂取量も解説
※参照18/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維
納豆とブロッコリーは、共に肌の健康に役立つ栄養素を豊富に含んでいます。
納豆には、ビオチンが含まれており、皮膚や粘膜の健康を維持するのに重要な栄養素です。(※19)また、タンパク質も豊富で、これは皮膚や髪の毛の基本的な構成要素となります。(※20)
一方、ブロッコリーにはビタミンCが豊富に含まれており、皮膚や細胞のコラーゲン合成に一役買います。(※21)したがって、納豆とブロッコリーは、美しい肌を保つ為におすすめの食品と言えます。
カロリー 194kcal(1人あたり)
納豆 1パック45g(83kcal)
ブロッコリー 200g(74kcal)
☆味噌 大さじ1(31kcal)
☆マヨネーズ 大さじ2(200kcal)
①食べやすい大きさに切ったブロッコリーをボールに入れ、ラップをして電子レンジにかける。(600wで2分程)
②その間に、納豆と☆を混ぜておく。
③熱々のブロッコリーに、②をかけたら完成。
※参照19/ 厚生労働省|薬事・食品衛生審議会 資料2-2
※参照20/ 厚生労働省|e-ヘルスネット たんぱく質
※参照21/ 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) ビタミンC p.244
本記事では、納豆のカロリーを中心にお伝えしてきました。
納豆は、日本の伝統的な発酵食品として、その栄養価と健康効果から広く支持されています。
1パックあたり83kcalと程よいカロリーを持ち、普段の食事に取り入れやすい点が魅力です。納豆は糖質が非常に少なく、豊富なタンパク質と食物繊維を含む為、ダイエットや健康管理に適した食品です。また、ビタミンB群や大豆イソフラボンなど、美容と健康維持に役立つ栄養素も豊富に含まれています。
納豆を日々の食事に加えることで、バランスの取れた栄養摂取が可能となり、健康的な生活をサポートしてくれるのではないでしょうか。
健康や美容を意識したい方は、納豆を積極的に取り入れることをおすすめします。