※ 参照3/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 はくさい(結球葉・生)より
白菜は、体の調子を整えるだけでなく、美容や健康維持にも役立つ栄養素が豊富に含まれた野菜です。
白菜に含まれる注目の成分
白菜(100g)に含まれる主な栄養成分をみていただいたところで、ここからはその中でも特に注目したい栄養とその健康効果をさらに掘り下げてご紹介します。
加えて、白菜に含まれる辛み成分「イソチオシアネート」についてもみていきましょう。
1.むくみや高血圧を予防するカリウム
カリウムには、体内の塩分バランスを整え、余分なナトリウムを排出する働きがあります。
この作用により、塩分の摂りすぎによるむくみを予防する効果が期待できます。※4
ナトリウムが過剰に体内に蓄積されると、血管内の水分量が増加し、血圧が上昇する原因に。
しかし、カリウムを適切に摂取することで余分なナトリウムの排出が促進され、血圧の上昇を抑えることができます。
特に、白菜にはカリウムが豊富に含まれており、日々の食事に取り入れることで高血圧を予防し、健康的な体づくりを実現しやすくなるでしょう。 ※5
※参照4/厚生労働省|e-ヘルスネット カリウム
※参照5/厚生労働省|e-ヘルスネット 栄養・食生活と高血圧
2.骨や歯を形成!溶けかけた歯にもアプローチできるカルシウム
カルシウムは、私たちの体に最も多く含まれるミネラルで、主に骨や歯を形成する役割を持ちます。
成人の体内には約1kgのカルシウムが含まれており、各種ミネラルの中で最も多く存在します。
そのほとんどがリン酸カルシウムとして、骨や歯のエナメル質に含まれているのです。※6
また、カルシウムは唾液にも含まれており、溶けかけた歯にもアプローチできる点が嬉しい特徴です。※7
※参照6/厚生労働省|e-ヘルスネット カルシウム
※参照7/厚生労働省|e-ヘルスネット むし歯の特徴・原因・進行
3.ダイエットや生活習慣病を予防・ケアする食物繊維
食物繊維には、脂質・糖・塩分を吸着して体の外に排出する働きがあります。※8
脂質や糖質は私たちの活動に必要なエネルギー源ですが、過剰に摂取すると肥満の原因に。
ダイエットや生活習慣病の予防には、普段から白菜のような食物繊維を含む食材を取り入れつつ、脂質や糖質に偏らない食事を心掛けることが大切と言えるでしょう。
※参照8/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維
4.がんや動脈硬化につながる有害物質を取り除くビタミンC
ビタミンCは、コラーゲンの生成を助けることで、肌や髪の健康維持に貢献し、傷の治癒を促進します。※9
また、ビタミンCには、「フリーラジカル」と呼ばれる有害物質から細胞を保護する働きも。
フリーラジカルとは、食べ物を体内でエネルギーに変える際や、たばこの煙、大気汚染、紫外線などから体内に取り込まれ、がんや動脈硬化などに繋がる恐れがある有害な化合物です。
白菜に含まれるビタミンCには、これらのフリーラジカルを取り除く働きがあります。※10
※参照9/厚生労働省|「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 ビタミンC
※参照10/独立行政法人国立健康・栄養研究所|研究紹介:糖尿病でビタミンCがなぜ足らなくなる?
5.妊娠中の食事に積極的に摂り入れたい葉酸
葉酸は、ビタミンB群の水溶性ビタミンです。
多くの研究により、葉酸が胎児における神経管閉鎖障害リスクを低減※11させることや、動脈硬化の発症予防に関与※12していることがわかっています。
妊婦さんはもちろん、これから妊娠を考えている方、またミドル・シニア世代にもおすすめしたい栄養素です。
※参照11/厚生労働省|葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果
※参照12/厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) p.232-237
6.血液凝固や骨の健康を支えるビタミンK
ビタミンKは、血液を固める働きや骨を健康に保つために欠かせない栄養素です。
また、動脈の石灰化を防ぐ働きがあり、動脈硬化を予防する効果も期待されています。
ビタミンKは通常の食事で十分に摂取できますが、抗生物質の長期使用や食事制限により欠乏症を引き起こす可能性があります。
欠乏すると血液凝固の遅延や骨折リスクの増加が懸念されるため、意識して取り入れることが大切です。
納豆や緑黄色野菜には、ビタミンKが豊富に含まれているため、食事に取り入れることで、効率よく摂取することができます。※13
※参照13/ 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020 年版) p.192‐208
7.がんや血栓を予防するイソチオシアネート
イソチオシアネートは、白菜、大根、キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる化合物。※14
切ったり噛んだりする際に細胞が壊れることで生成される成分で、白菜特有の香りや辛みの元となります。
この成分には、肝臓の解毒作用を活性化し、発がん性物質の毒性を抑える働きがあるため 、がん予防への効果が期待されています。
さらに、血栓の予防や消化促進、殺菌作用といった健康効果も知られています。
イソチオシアネートを効率よく摂取するには、白菜を生で食べるのがおすすめです。※15
※参照14/2004年26巻3号 p.253-258
発行:日本環境変異原学会第15回公開シンポジウム「食べ物によるがん予防戦略を考える-生活環境中の植物成分の抗変異・抗発がん作用とそのメカニズム-」イソチオシアネートによるがん予防の可能性—細胞増殖の選択的制御とその分子機構—著者:中村 宜督(名古屋大学大学院生命農学研究科食品機能化学研究室)
※参照15/独立行政法人農畜産業振興機構 今月の野菜 大根 2013年1月
白菜の栄養を逃さない!おすすめの食べ方や調理法
前述した通り、白菜はビタミンCや食物繊維など栄養が豊富に含まれた野菜です。
しかし、調理法によってはその栄養が失われてしまうこともあります。
そこでここからは、白菜の栄養をしっかりと活かしながら、美味しく楽しむためのおすすめの食べ方や調理法をご紹介します。
白菜は生やピクルスで食べる
白菜には、水に溶けやすい栄養素や熱に弱い栄養素が多く含まれています。
下記の表をご覧いただくと、ビタミンC※16やカリウム※17は加熱や茹でることで失われ、栄養素が流出していることがおわかりいただけるでしょう。
そのため、これらの栄養素を効率よく摂取するには、サラダなど生のまま食べるのがおすすめです。
※ 参照18/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 はくさい(結球葉・生)はくさい(結球葉・ゆで)より
一方で、生の白菜が苦手な方には、ピクルス(甘酢漬け)で食べることをおすすめします。
ピクルスは加熱をしないため、白菜本来の栄養素をそのまま保持できるだけでなく、酢に溶け出した栄養分も一緒に摂取することができます。
記事の後半には、白菜を使ったピクルスのレシピを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
※参照16/独立行政法人国立健康・栄養研究所|ビタミンについて
※参照17/東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター|慢性腎臓病の食事療法
キムチにした白菜を食べる
発酵食品であるキムチには、ヨーグルトと同程度の生きた乳酸菌が含まれています。
この乳酸菌には「プロバイオティクス」と呼ばれる効果があり、体内に有益な微生物を取り入れることで、消化吸収を促進し、免疫力を高める働きをします。
一方で、白菜などの野菜に含まれる食物繊維には「プレバイオティクス」としての役割があり、腸内で乳酸菌などの善玉菌を増やすための栄養源として機能します。
「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」の相乗効果により、整腸作用や便秘予防、大腸がん予防などの健康効果が期待されています。
さらに、キムチには乳酸菌が作り出すビタミンに加え、唐辛子由来のビタミンCやビタミンAが豊富に含まれています。
また、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンには体内脂肪を燃焼させる作用があり、肥満予防やダイエット効果も期待できるでしょう。※19
※参照19/四季の野菜の健康と栄養|独立行政法人 農畜産業振興機構
白菜を電子レンジで調理する
ビタミンCやビタミンB群のような熱に弱い栄養素は、高温での調理時間が短いほど、食材内に多く留まります。
電子レンジ調理は通常、加熱時間が短く済むため、熱に弱い栄養素の損失を最小限に抑えることができるのです。
したがって、白菜を加熱する際は、茹でるよりも電子レンジで調理するのが良いと言えるでしょう。
さらに、前述した通り、白菜には水に溶けやすい栄養素も豊富に含まれているため、茹でるとそれらが水に溶け出してしまうのです。
しかし、水を使わない電子レンジ調理では栄養素の流出量も少ないため、栄養素を逃さず摂るのにおすすめの調理法と言えます。※20
※参照20/東京都保健医療局|東京都食品安全FAQ
白菜の栄養をしっかり摂れる簡単レシピ3選
ここでは、簡単に作れるうえに、栄養を余すことなくしっかり摂れる白菜のレシピを3つご紹介します。ぜひお試しください。
食品の栄養価は、「文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より引用しています。
白菜のカボス風味ピクルス
材料(2人分)
カロリー109 kcal(1人あたり)
※漬け込み液を40%摂取するとして計算
白菜 (400g)
きゅうり 2本(200g)
玉ねぎ1/2ヶ(100g)
☆酢 大さじ6
☆砂糖 大さじ6
☆塩 大さじ1/2
カボス(お好み量)
作り方
①野菜を丁寧に洗い、食べやすい大きさに切る。カボスは、薄い輪切りにする。
②容器に野菜とカボスを入れ、上から☆を流し込み、混ぜ合わせる。
③重石をし、冷蔵庫で1日漬け込んだら完成。2〜3日以内にお召し上がりください。
◆ひとことアドバイス
・カボスが手に入らない場合は、レモンやスダチ、ユズ、ミカンなどに代用可能です。
・盛り付け時に黒こしょうを振ると、ピリッとしたスパイシーさと香りを楽しめます。
◆注意点
・酢は酸性が強いため、保存容器にはガラス容器やホーロー容器を選びましょう。アルミ製やプラスチックの容器は避けると良いでしょう。
白菜の塩昆布サラダ
材料(2人分)
カロリー101 kcal(1人あたり)
白菜(300g)
塩昆布(10g)
☆ごま油 小さじ2
☆白ごま 小さじ1
☆塩 ひとつまみ
作り方
① 白菜を洗い、水気を切って食べやすい大きさに切る。
② ボウルに切った白菜と塩昆布を入れ、☆を加えてよく揉み込む。
③ 冷蔵庫で30分程度置いて味をなじませたら完成。
◆ひとことアドバイス
・お好みで柚子胡椒やレモン汁を加えると風味がさらに引き立ちます。
白菜と鶏肉のすき焼き風
材料(2人分)
カロリー490 kcal(1人あたり)
白菜(300g)
鶏肉( 200g)
しいたけ 4ヶ
にんじん50g
長ねぎ 1本
しらたき(100g)
豆腐 1/2丁(150g)
卵(お好みで)(2個)
☆醤油(大さじ3)
☆砂糖 (大さじ3)
☆酒 (大さじ3)
☆水 (100ml)
作り方
① 食材を食べやすい大きさに切る。
(例)白菜はざく切り、長ねぎは斜め薄切り、にんじんは短冊切り、しいたけは石づきを切り落とし軸とカサ部分に分ける。豆腐は角切り、しらたきは10㎝程度に切る。
② 鍋に☆をすべて入れて火にかけ、煮立たせる。
③ 煮立った鍋に鶏肉を入れ、色が変わったらすべての具材を加える。
④ 蓋をして中火で8分程度煮込み、野菜がしんなりしたら完成。
⑤ お好みで溶き卵をつけてお召し上がりください。
◆ひとことアドバイス
・具材は好みに応じてアレンジ可能!春菊やえのきなどもおすすめですよ。
まとめ
白菜は低カロリーでありながら、カリウムやビタミンC、食物繊維など、体に必要な栄養素を豊富に含む野菜です。
そして、その栄養を最大限に活用するためには、生やキムチ、ピクルスといった食べ方を選ぶのがおすすめ。
また、電子レンジを活用することで、熱に弱い栄養素を逃さず摂取することも可能です。
これらのコツを活かし、日々の食事に白菜を上手に取り入れてみてくださいね。